【線形代数学入門】行列の演算(和とスカラー倍)
1. 記事の目的
以下の記事で行列の定義を述べた。本記事では行列の演算(和とスカラー倍)に関して述べる。
2. 行列の和
2つの型行列、に対して、行列の和を次のように定義する。の各成分は、対応するとの成分の和とする。即ち、
のとき、
となる。
例:
のとき、
となる。
3. 行列のスカラー倍
縦ベクトルや横ベクトルに対して、一つの数からなる数、例えばなどをスカラーと呼ぶ。スカラー倍とは、スカラーを掛けて得られる結果のことである。実数値のスカラーに対して、型行列のによるスカラー倍を次のように定義する。の各成分は、対応するの成分を倍した数とする。即ち、
のとき、
となる。
例:
のとき、
となる。
特に、をで表し、をで表す。
- 行列の和とスカラー倍の演算法則 成分が全てであるような型行列を型零行列といい、と書く。、を省略して、と書くこともある。
行列に関しては次の演算法則(和の結合法則、交換法則など)が成り立つ。、、を型の行列とし、、をスカラーとする。
以下でこれらを証明する(数学では1点の曇りもなく正しいことを言うことを証明と言う)。
とする。
(1)の証明:
(2)の証明:
(3)の定義:
(4)の証明:
(5)の証明:
(6)の定義:
次の記事:
5. 参考文献
[1]線型代数入門
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