【線形代数学入門】行列の階数
1. 記事の目的
以下の記事で、行列の基本変形に関して述べた。本記事では基本変形を利用して、行列の階数という概念を導入する。行列の回数を導入すると、連立方程式が解けるための条件を記述することができる。
2. 定理
行列の階数を導入するために、まず次の定理を証明する。
任意の型行列
は、基本変形を何回か行うことで、次の標準形に変形される。
は図1のような行列である。

の数は
は、
のみにより決まり、基本変形の仕方にはよらない。
証明:ならば、
より、
はすでに標準形である。
ならば、
の少なくとも一つの成分で
でないものがあるので、基本変形を行うことで、
成分に
でない成分を移動させることができる。
をかなめとして、第1列、第一行を吐き出せば、
の形になる。行列の掃き出しに関しては以下の記事を参照。
ここで、第1行及び第1列以外の全てがであれば、
の標準形となり、定理が成立する。もし、第1行及び第1列以外に、
でない成分があれば、その成分を基本変形により、
成分に移し、
成分をかなめとして、第2列と第2行を掃き出すと、
の形に変形される。この操作を可能な限り続ければ、行列の大きさは有限なので、あるに関して、
の形になる。
次に、が(基本変形によらず)一意に決まることを示す。
が2通りの形、
、
と変形されたと仮定する(
)。ここで、
、
のいずれかが小さいので、小さい方を
とすれば、一般性を失わず
と仮定できる。
は
と
に変形されるので、ある正則行列
、
、
、
があって、
よって、
と変形されるので、
となり、
となる。即ち、、
とおくと、正則行列
、
を使って
と表せる。、
の行と列を
番目で四つに対称に区分けをして、
とすれば(、
は
型行列)、
の仮定により
が成り立つ(図2参照)。

、
は正則である。
従って、(3)、(4)より、
よって、となる。従って、(1)は、
となり、これはでなければ成立しない。
3. 行列の階数
2.の定理で定まる、行列に対する数、
を行列
の階数という。
は定理に示されているように、行列
だけで、一意に決定される。
例:次の行列の階数を求める。
従って、の階数は
である。
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4. 参考文献
[1] 整形代数学入門